カメラと

カメラと日常の覚書

雨上がりのアスファルトに、小さな恋を見つけた日。

言葉を失うほどの、美しい瞬間に立ち会ったことはありますか?

それは、写真展へ向かう道すがら、雨上がりの湿ったアスファルトに足を取られ、ふと視線を落とした時のことでした。

そこに咲いていたのは、一輪の小さな、赤い花。

無機質で冷たい鉄のマンホールの上に、まるで誰かがそっと置いたかのように、健気に、しかし鮮烈な生命力で輝いていました。背景にぼんやりと浮かぶのは、町田市のシンボル、カワセミのシルエット。

この記事は、予定調和の日常が、一枚の写真によって「忘れられない一日」に変わった、僕の小さな物語です。

主役は、名もなきこの花

計画していたのは、町田市の「カワセミのマンホール」を撮ることでした。しかし、僕の心を奪ったのは、その主役の傍らで、雨露に濡れながらも凛と咲く、この名もなき花でした。

まるで、壮大な物語の片隅で、自分だけの物語を紡いでいる登場人物のよう。この儚くも力強い存在感に、僕は夢中でシャッターを切りました。

カワセミがデザインされたマンホールの上で、雨露に濡れる小さな赤い花の撮影
主役になるはずだったカワセミの傍らで、今日の物語を教えてくれたのは、この名もなき小さな花でした。

この写真の主役は、マンホールではありません。この小さな花と、それが作り出す世界観そのものです。

この「空気感」を写し撮った、最高の相棒

この詩的な一瞬を、見たままの感動と共に切り取れたのは、間違いなくこの機材の組み合わせのおかげです。

  • カメラ: OLYMPUS OM-D E-M10
  • レンズ: M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8

なぜこの組み合わせが、このシーンに最適だったのか。

▼被写体に「威圧感」を与えない、優しい佇まい

もし僕が、巨大な望遠レンズを付けたカメラを構えていたら、この花の持つ繊細な空気感は撮れなかったかもしれません。E-M10のクラシックで小さなボディは、被写体に威圧感を与えることなく、そっと世界に寄り添うことを許してくれます。

▼「寄り添う」距離感を生む、魔法のレンズ

M.ZUIKO 17mm F2.8は、最短撮影距離が20cmと、かなり被写体に寄ることができます。この「寄れる」性能が、雨上がりのマンホールという無機質な世界に、小さな花の生命が宿るドラマを写し出すことを可能にしてくれました。

F2.8という絞り値が生み出す、柔らかく美しいボケ味。ピントが合った花びらの瑞々しさと、背景に溶けていくカワセミのシルエットの対比が、この写真の物語をより一層深くしています。

派手さはない。けれど、持ち主の心に静かに寄り添い、日常に潜む「詩」をすくい上げてくれる。僕がこのカメラとレンズを愛してやまない理由が、この一枚に詰まっています。

▼この「空気感」を撮れる、最高の相棒

  • カメラ: OLYMPUS OM-D E-M10 Mark IV(E-M10初代は生産完了品の為)
  • レンズ: M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8

まとめ:予定不調和こそ、写真の醍醐味

写真を撮ることは、宝探しによく似ています。

計画通りに進むことなんて、ほとんどありません。でも、だからこそ面白い。思いがけない出会いが、予期せぬ感動が、昨日までの自分を少しだけ豊かにしてくれる。

もし、この名もなき花に出会わなければ、僕は「カワセミのマンホールを撮った」という事実だけで、この道を通り過ぎていたでしょう。

カメラは、日常を冒険に変える魔法の道具。 あなたも、ファインダーの向こうに広がる「予定不調和」を楽しんでみませんか?