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【OM-1/Mark II】Live NDがあればNDフィルターはいらない?~可変NDの真価と使い分けを徹底解説~

導入文: こんにちは!カメラマンのりょうです。

OM SYSTEM OM-1/Mark IIのオーナーの皆さんならご存知の、あの画期的な機能、「Live ND」。日中の明るい場所でも、まるでNDフィルターを付けたかのように水の流れを滑らかにしたり、雲を流したりできる、まさに魔法のような機能です。

このLive NDの登場で、「もうNDフィルターは必要ないんじゃないか?」と感じた方も多いのではないでしょうか?特に、複数のNDフィルターを付け替える手間や、可変NDフィルターの購入を検討していた方にとっては、大きな選択肢の変更点になったかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか?実は、Live NDがどれだけ優れていても、物理的なNDフィルター、特に可変NDフィルターには、Live NDではカバーしきれない、あるいは得意ではない領域が存在します。

今回は、Live NDの素晴らしいメリットを再確認しつつ、それでもなお可変NDフィルターがあなたの撮影をさらに豊かにする理由について、その真価と賢い使い分けを徹底的に解説します。これを知れば、あなたの写真表現の可能性は、さらに大きく広がるはずです。



魔法の機能「Live ND」が、写真の世界を変えた!

まずは、OM-1/Mark IIのLive ND機能がどれほど素晴らしいか、その魅力を再確認しましょう。

  • フィルター不要で、とにかく手軽: Live NDの最大の魅力は、物理的なNDフィルターをレンズに装着する手間が一切ないことです。フィルターの口径を気にしたり、付け替えたり、持ち運びに気を遣ったりする必要がありません。レンズ一本で、気軽に長時間露光に挑戦できるようになったのは、まさに革命的です。
  • 「撮る前にわかる」リアルタイムプレビュー: EVF(電子ビューファインダー)や背面モニターで、Live NDの効果がリアルタイムに確認できるのは、物理フィルターにはない大きなアドバンテージです。シャッタースピードやND段数を変えたら、写真がどう仕上がるか?これを撮影前に目で見て確認しながら調整できるため、試行錯誤の時間が大幅に短縮され、イメージ通りの写真が撮りやすくなりました。
  • 優れた費用対効果: 高品質なNDフィルター、特に複数の減光量に対応するセットや可変NDフィルターは、それなりの投資が必要です。Live ND機能は、その費用をかけずに、多くのシーンで同等の、あるいはそれ以上の効果を得られるため、コストパフォーマンスは抜群です。
  • OM-1とMark IIのLive ND機能の違い: Live ND機能は初代OM-1から搭載されていますが、Mark IIでさらに進化を遂げています。

    機能/カメラ OM SYSTEM OM-1 (初代) OM SYSTEM OM-1 Mark II
    最大ND段数 ND64相当 (6段分) ND128相当 (7段分)
    NDレベル微調整 できない (ND2, ND4, ND8... の固定値) できる (例: ND2.5, ND5.5 のように微調整可能)
    動画でのLive ND 非対応 対応 (動画撮影中にLive NDを使用可能)

    ご覧の通り、初代OM-1でもND64相当(シャッタースピードを6段分遅くする効果)まで使うことができますし、これは日中の長時間露光には十分に強力です。Mark IIではさらに効果が向上し、動画でも使えるようになったことで、表現の幅が広がりました。

Live ND機能は、多くの写真愛好家にとって、長時間露光のハードルを劇的に下げ、その楽しさを広げてくれた、まさにOM-1/Mark IIの「キラー機能」の一つと言えるでしょう。

それでも可変NDフィルターが輝く!Live NDの「苦手」を補う存在

Live NDがどれほど優れていても、実は物理的なNDフィルター、特に可変NDフィルターには、Live NDではカバーしきれない、あるいは得意ではない領域が存在します。

  • 【限界1】より強い減光量が必要な「超」長時間露光: Live NDの最大減光量は、OM-1でND64(6段分)、Mark IIでND128(7段分)です。しかし、真昼の太陽光が降り注ぐ中で、「人通りが激しい場所から人を完全に消したい」(例えば、観光地の駅前など)や、「滝を完全に霧のように、より幻想的に表現したい」といった、より極端な長時間露光には、ND400(9段分)、ND1000(10段分)といったさらに強力な減光量を持つ物理NDフィルターが必要になります。この領域では、Live NDではシャッタースピードを十分に稼ぎきれないことがあります。
  • 【限界2】「自然なブレ」を追求したい時、画面内に動体が多数ある時: Live NDは、複数枚の画像を合成することで効果を出します。そのため、画面内に動き続ける被写体(例えば、流れる水の中に立つ人、風で激しく揺れる草木、速く動く電車など)がある場合、その部分が不自然なゴーストになったり、部分的に消えたりすることがあります。 一方、物理NDフィルターは「一枚の画像を長時間かけて露光する」ため、動くものは時間軸に沿って自然なブレとして写ります。この「自然なブレ」を意図的に表現したい場合(例:波が自然に流れる様子、風に揺れる木々の葉を滑らかに表現など)は、物理NDフィルターの方がより自然で美しい仕上がりになることがあります。
  • 【限界3】動画撮影で長時間露光効果を得たい時: OM-1 Mark IIでは動画でのLive NDに対応しましたが、初代OM-1では動画ではLive NDは使えません。動画でシャッタースピードを遅くして、水の流れを滑らかにしたり、シネマティックな表現を追求したい場合は、物理的な可変NDフィルターが必須となります。特に可変NDは、減光量をシームレスに調整できるため、動画撮影との相性が抜群です。
  • 【限界4】画質を究極まで追求する場合: Live NDはカメラ内でのデジタル処理による合成のため、ごくわずかな画質劣化(ノイズの増加、解像感の微妙な低下、色味の変化など)が生じる可能性が指摘されることがあります(一般的な鑑賞ではほとんど気になりませんが)。画質に一切妥協せず、最もクリアな長時間露光を求めるのであれば、最高品質の物理NDフィルターに軍配が上がることもあります。

可変NDフィルターは、ダイヤルを回すだけで減光量を調整できるため、光量が刻々と変化する場面や、効果の強さを試行錯誤したい場合に非常に便利です。Live NDがカバーしきれないこれらの領域で、可変NDフィルターはあなたの撮影を強力にサポートしてくれる、まさに「唯一無二」の存在なのです。

Live NDと可変NDフィルター、賢い使い分けで表現の幅を広げる!

では、OM-1/Mark IIのLive ND機能と可変NDフィルターを、どのように使い分ければ良いのでしょうか?

  • Live NDが活躍するシーン:

    • 手軽にサッと長時間露光を試したい時
    • フィルターの持ち運びや着脱が面倒な時
    • 効果をリアルタイムで確認しながら調整したい時
    • そこまで極端な減光量(ND128相当以下)で十分な時
    • 主に静止した風景で、水の流れや雲の動きを表現したい時
    • OM-1 Mark IIユーザーで動画でも軽いND効果を試したい時。
  • 可変NDフィルターが活躍するシーン:

    • Live NDの最大減光量を超える、より強い減光が必要な時(ND400、ND1000など)。
    • 画面内に動体が多数ある、あるいは自然なブレを表現したい時
    • 動画撮影で長時間露光効果を得たい時(初代OM-1ユーザー、Mark IIユーザーともに)。
    • 画質を究極まで追求したい時
    • 減光量の微調整を頻繁に行いたい時(可変NDの強み)。
  • 三脚はどちらの機能でも必須!: Live NDも物理NDフィルターによる長時間露光も、カメラを完全に固定することが不可欠です。どんなに強力な手ぶれ補正を持つOM-1/Mark IIでも、長時間露光の真価を引き出すには三脚が必須であることを忘れないでください。

どちらか一方を選ぶのではなく、それぞれの特性を理解し、使い分けることで、あなたの写真表現の可能性は無限に広がります。Live NDで気軽に長時間露光の楽しさを知り、さらに表現を深めたくなったら、可変NDフィルターという次のステップを検討してみるのがおすすめです。

まとめ:Live NDと可変NDは、相補的な関係!

OM-1/Mark IIのLive ND機能は、日中の長時間露光を劇的に手軽にしてくれた素晴らしい機能です。しかし、より強い減光、自然な動体表現、動画撮影、そして究極の画質を追求する際には、可変NDフィルターを含む物理NDフィルターがその真価を発揮します。

これらは互いに優劣をつけるものではなく、「相補的な関係」にあるツールです。あなたの撮影スタイルや表現したい世界に合わせて、賢く使い分けることで、きっとあなたの写真に新たな魔法をかけることができるでしょう。


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【執筆者(りょう)より】 私もLive NDには日々驚かされていますが、それでもやはり物理フィルターが持つ表現の幅には魅力があります。どちらか一方にこだわるのではなく、両方の良いところを理解して使いこなすことが、写真の楽しさを何倍にも広げてくれると信じています。撮影についてのご質問や、こんな写真を撮ってほしいというご要望があれば、ぜひコメントでお聞かせください。

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