こんにちは!カメラマンのりょうです。
前回の「【OM SYSTEMカメラで挑戦!ホタル撮影①】準備万端!安全に楽しむための必須知識とマナー」、お読みいただけましたでしょうか?安全とマナーをしっかり守って、いよいよ今回はOM SYSTEMカメラの具体的なカメラ設定に挑戦です!
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「カメラの設定って難しそう…」と感じる方もいるかもしれませんが、大丈夫!OM SYSTEM(オリンパス)のカメラには「ライブコンポジット」という、ホタル撮影の強い味方になってくれる素晴らしい機能があります。この機能を使いこなせば、初心者の方でもきっと幻想的なホタル写真を撮ることができますよ。
今回は、このライブコンポジットを中心に、ホタル撮影におすすめの基本設定と考え方を分かりやすく解説していきます。OM-1ユーザーの方はもちろん、他のOM SYSTEM(オリンパス)のカメラをお持ちの方も、ぜひ参考にしてくださいね。
1. OM SYSTEMカメラの魔法!「ライブコンポジット」って何?
まず、ホタルを撮るなら絶対にマスターしたい「ライブコンポジット」機能について簡単にご説明します。
この機能は、OM-1だけでなく、多くのOM SYSTEM(オリンパス)のミラーレスカメラに搭載されている画期的な機能です。(搭載状況は機種によりますので、お手持ちのカメラの仕様をご確認くださいね。)
通常、暗い場所で光の軌跡を撮ろうとすると、シャッターを長時間開けっ放しにしますよね?
そうすると、ホタルの光だけでなく、背景のわずかな明かり(街灯や月明かりなど)もどんどん明るく写ってしまい、結果的に背景が真っ白になってしまうことがあります。
でも、ライブコンポジットは違うんです!
これは、「最初に撮った写真の明るさを基準にして、それよりも明るく変化した部分だけを重ねて記録していく」 という賢い機能。
つまり、
- 背景の明るさは、最初に撮った時のまま(それ以上明るくならない!)。
- ホタルの光跡のように、新しく現れたり動いたりする明るいものだけが、どんどん追加されていく。
まるで魔法みたいですよね?
この機能のおかげで、背景の明るさを気にしすぎることなく、ホタルの美しい光の軌跡だけを追いかけることができるんです。
2. これで安心!ライブコンポジットの基本設定
それでは、ライブコンポジットを使うための具体的な設定を見ていきましょう。
OM-1を例に説明しますが、基本的な考え方は他の機種でも応用できます。
① 撮影モードを選択:あなたのカメラはどのタイプ?
ライブコンポジット機能を使うための最初のステップは、撮影モードの選択です。
これは機種によって少し操作が異なる場合があります。
OM-1や比較的新しい機種の場合:
- カメラ上部にあるモードダイヤルを「B(バルブ)」に合わせます。
- 次に、カメラのコントロールパネル(OKボタンを押すと表示されます)や撮影メニューの中から、「ライブコンポジット」(電球がいくつか重なったようなアイコンが目印です)を選んでください。
一部の機種(例:少し前のモデルなど)の場合:
- モードダイヤルを「M(マニュアル)」に合わせます。
- そこからシャッタースピードをダイヤルでどんどん遅くしていくと、「BULB」の次に「LIVECOMP」や「ライブコンポジット」といった表示が出てくることがあります。
- 【重要】お使いのカメラの取扱説明書で「ライブコンポジット」の項目を確認していただくのが一番確実です。 自分のカメラでの設定方法をしっかり把握しておきましょう。
② ISO感度:まずは「ISO 400」から
ISO感度は、カメラが光を感じる度合いのこと。
数値が大きいほど暗い場所でも明るく撮れますが、上げすぎると写真にノイズ(ザラザラ感)が出やすくなります。
ライブコンポジットなら、無理にISO感度を上げる必要はありません。
まずは「ISO 400」あたりから始めてみましょう。
ホタルの光の強さや周りの明るさを見ながら、「ISO 200~800」の範囲で調整するのがおすすめです。
低いISO感度で撮影できるほど、写真はよりクリアになります。
③ 絞り(F値):レンズの「一番明るい値」に近い設定で
絞り(F値)は、レンズから入る光の量を調整する部分です。
F値が小さいほど、たくさんの光を取り込めます(レンズが明るい、と言います)。
ホタル撮影では、できるだけ多くの光を集めたいので、お持ちのレンズの一番小さいF値(開放F値と言います。例えばF1.8やF2.8など)に近い設定にしましょう。
目安としては「F1.8~F4.0」くらいです。
F値を少し大きくする(絞る)と、ピントの合う範囲が少し広がる効果もありますが、まずは明るさを優先しましょう。
④ 基準露出時間:ホタルの光跡を描くカギ!「5秒」から試そう
これがライブコンポジットの肝となる設定、「基準露出時間」です。
これは、1回シャッターを切る時間(1コマの露光時間)のこと。ライブコンポジットでは、この時間で連続的に撮影を繰り返し、明るい部分だけを合成していきます。
まずは「5秒」から試してみるのがおすすめです。
この時間を調整することで、ホタルの光跡の写り方が変わります。
- 短くする(例:1秒~3秒):
- ホタルの光跡が短い点線のように写りやすくなります。
- 背景が比較的明るい場所にも向いています。
- 長くする(例:8秒~15秒):
- ホタルの光跡が滑らかな線として繋がりやすくなります。
- ホタルの光が弱い場合や、より長い軌跡を描きたい時に。
背景の明るさや、ホタルの光の強さ、どんな光跡にしたいかによって、「1秒~15秒」程度の範囲で色々試してみてくださいね。
【ポイント】
この基準露出時間で試し撮りをして、「ホタルの光がちゃんと写っているか」「背景が白飛びしていないか」をしっかり確認しましょう!
3. ピント合わせは超重要!マニュアルフォーカス(MF)をマスター
暗闇でのホタル撮影では、オートフォーカス(AF)は迷ってしまってうまくピントが合いません。
必ずマニュアルフォーカス(MF)でピントを合わせましょう。
これが一番難しいけれど、一番大切なポイントです!
ピント合わせの具体的な手順
- レンズのフォーカスモードを「MF」に切り替えます。 カメラ本体やレンズにある切り替えスイッチで操作します。
- ピントを合わせる対象を探す:
- 【理想は明るいうちに】
もし明るいうちに撮影場所に行けるなら、撮りたい範囲にある木や建物、遠くの山などにオートフォーカスで一度ピントを合わせます。その後、すぐにMFに切り替え、ピントリングが動かないようにテープなどでそっと固定してしまうのが確実です。
- 【暗くなってからなら】
遠くにある街灯や、月、明るい星など、かろうじて見える明るいものを目標にします。
- ライブビューで拡大してピントを追い込む:
- カメラの背面液晶モニターのライブビュー表示を使い、ピントを合わせたい対象をできるだけ拡大表示します。(OM SYSTEMカメラなら、拡大ボタンやダイヤルで簡単にできます)
- ピントリングをゆっくり、本当にゆっくり回しながら、対象が一番シャープに見える(輪郭がクッキリする)ポイントを探します。
- OM SYSTEMカメラの「MFアシスト」機能にある「ピーキング」をONにすると、ピントが合っている部分の輪郭が色付きで強調表示されるので、とても便利です!ぜひ活用してください。(ピーキング機能は多くのOM SYSTEMカメラに搭載されています)
ピント合わせは根気が必要ですが、ここが決まらないと、せっかくのホタルの光もぼんやりしてしまいます。
じっくり時間をかけて、納得のいくピントを見つけてくださいね。一度合わせたら、撮影中にズレないように気をつけて!
4. その他の重要設定も見逃せない!
ライブコンポジットの基本設定とピント合わせができたら、あともう少し!
以下の設定も確認しておきましょう。これらも美しいホタル写真を撮るための大切な要素です。
- ホワイトバランス (WB):
- RAW形式で撮影するなら、後でパソコンで調整できるので「AUTO」でも大丈夫です。
- 撮影時に色味をある程度決めたい場合は、「晴天」(比較的自然な色)や、ケルビン値を指定して「4000K~4500K」(少し青みがかった幻想的な色)などに設定するのも良いでしょう。
- 手ブレ補正:
- 三脚を使うので、必ず「OFF」にしてください。ONのままだと、逆に誤作動してブレの原因になることがあります。
- 長秒時ノイズ低減:
- ライブコンポジット使用時は、これも必ず「OFF」にしてください。ONだと、1コマごとにノイズ処理が入り、撮影がスムーズに進みません。
- 高感度ノイズ低減:
- 「OFF」または「弱」がおすすめです。強くかけすぎると、ホタルの繊細な光が消えてしまうことがあります。
- 記録画質:
- 「RAW」形式での撮影を強くおすすめします!
- RAWはJPEGよりもたくさんの情報を持っているので、撮影後に明るさや色味を細かく調整するのに非常に有利です。
- SDカードの容量は大きめのものを用意しましょう。「RAW + JPEG」で両方保存するのも良いですね。
- サイレント撮影 (電子シャッター):
- 「ON」にしましょう。 シャッター音がしなくなるので、静かな環境でホタルや周りの人に配慮できます。(多くのOM SYSTEMカメラに搭載されています)
- AF補助光:
- 必ず「OFF」(禁止)にしてください。これは暗い場所でピントを合わせるための補助光ですが、ホタル撮影では強い光なので厳禁です!
5. おわりに:設定はバッチリ!いよいよ撮影へ
お疲れ様でした!これでOM SYSTEMカメラのホタル撮影に向けた基本設定はバッチリです。
最初は覚えることが多くて大変かもしれませんが、一度設定してしまえば、あとは微調整するだけ。
OM SYSTEMカメラのライブコンポジット機能が、きっとあなたのホタル撮影を強力にサポートしてくれますよ。
次回はいよいよ実践編!
「【OM SYSTEMカメラで挑戦!ホタル撮影③】撮影テクニックと構図のコツ~幻想的な一枚を撮るために~」(仮)で、ライブコンポジットを使った具体的な撮影の手順や、より魅力的なホタル写真を撮るための構図の考え方などをお伝えします。お楽しみに!
安全とマナーを守って、OM SYSTEMカメラでのホタル撮影、楽しんでいきましょうね!
【執筆者(りょう)より】
カメラの設定と聞くと難しく感じるかもしれませんが、OM SYSTEMカメラのライブコンポジットは本当に直感的で使いやすい機能です。OM-1はもちろん、他の機種をお使いの方も、ぜひこの素晴らしい機能を活用してホタル撮影に挑戦してみてください。今回の記事が、皆さんの「ホタルを撮ってみたい!」という気持ちを後押しできれば嬉しいです。分からないことがあれば、遠慮なくコメントで質問してくださいね。
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