皆さん、こんにちは!カメラマン今井です。先日、相模女子大学グリーンホールで開催された「第26回 さがみはら能」に行ってきました!
前回は1部、すり足体験会についてを中心にお伝えしました。今回は2部での観覧内容をお伝えします。
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「能」って聞くと、ちょっと敷居が高いイメージ?正直、僕もそう思ってたんです(笑)でも、行ってみたら想像以上に面白くて、すっかりハマっちゃいました!今回は、そんな僕が能の世界に足を踏み入れた体験を、写真家の視点も交えながらレポートします。
能ってどんな世界?~日本の伝統芸能の奥深さに触れる~
能は、日本の伝統芸能の一つで、室町時代に観阿弥・世阿弥親子によって大成された舞台芸術です。歌舞伎と並んで有名ですが、能はもっと静かで、洗練された雰囲気。能面をつけた役者が、独特の節回しで物語を語り、優雅な舞を披露します。
能の魅力は、その総合芸術としての完成度の高さにあります。物語を語る詞章(謡)、音楽(能楽)、そして舞。これらの要素が一体となり、観客を幽玄の世界へと誘います。
今回の「さがみはら能」で上演された演目たち
今回の「さがみはら能」では、様々な演目が上演されました。それぞれの演目の見どころや、僕が感じたことをご紹介します。
- <1部>
- すり足体験: 舞台を歩むことで、能の世界に足を踏み入れる感覚を体験。
- ポイント: 能の基本であるすり足を体験することで、舞台の板を踏みしめる感覚、独特の歩き方を体感できます。
- 仕舞「猩々」: 酒好きの精霊が喜びを舞う、おめでたい演目。五穀豊穣を祝う意味合いも持ちます。
- ポイント: 猩々の躍動感あふれる舞と、華やかな衣装に注目。お祝いの席にぴったりの、華やかな雰囲気です。
- <2部>
- 仕舞「高砂」: 夫婦愛と長寿を祝福する、心温まる物語。相生の松を背景に、仲睦まじい老夫婦の姿が描かれます。
- ポイント: 尉(じょう)と姥(うば)の面をつけた老夫婦の、穏やかな表情に注目。夫婦円満の秘訣が隠されているかもしれません。
- 仕舞「羽衣」: 天女が舞い降りる、幻想的な世界。天女が羽衣をまとう姿は、息をのむ美しさです。
- ポイント: 天女の優雅な舞と、能管(笛)の音色に注目。まるで天上にいるかのような、幻想的な気分を味わえます。
- 仕舞「船弁慶」: 源義経と武蔵坊弁慶が嵐の中を逃れる、勇壮な物語。弁慶の力強い立ち回りが見どころです。
- ポイント: 弁慶の豪快な動きと、大鼓の迫力ある音色に注目。手に汗握る、スリリングな展開です。
- 狂言「附子」: 主人が留守中に、太郎冠者が毒薬と偽って砂糖を食べてしまうという、ユーモラスな狂言。太郎冠者の間の抜けた言動に、思わず笑いがこぼれます。
- ポイント: 太郎冠者のコミカルな動きと、セリフに注目。能の合間の休憩にぴったりの、笑える演目です。
- 能舞「序ノ舞」: 松山隆雄師が披露する、静かで優雅な舞。神や仏を祀る儀式的な意味合いを持ちます。
- ポイント: 松山隆雄師の洗練された舞と、静謐な雰囲気に注目。心が洗われるような、清らかな気持ちになれます。
どの演目も、日本の美しい言葉や所作で表現されていて、見ているだけで心が洗われるようでした。特に、「高砂」の老夫婦の姿には、夫婦円満の秘訣が隠されているように感じましたし、「羽衣」の天女の舞には、言葉では表現できないほどの美しさを感じました。そして、狂言「附子」。「あおげあおげ、あおぐぞあおぐぞ」と、毒に見立てた砂糖に恐る恐る近づくシーンでは、扇を広げ大胆な動きで2人が一緒に屈みながら進む姿についつい笑ってしまいました。
能の舞台の秘密~東西南北に隠された意味~
能の舞台は、ただの舞台ではありません。東西南北の方位が定められていて、それぞれの方向に意味があるんです。
- 東: 春、始まり、希望
- 西: 秋、終わり、幽玄
- 南: 夏、活発、行動
- 北: 冬、静寂、思索
また、主役であるシテは、西から登場することが多いそうです。これは、西が「幽玄」を表す方位であるため、能の世界へと誘う意味合いがあるのかもしれません。
能舞台の構造や、役者の動き一つ一つに、深い意味が込められているんですね。
能楽(音楽)の力~心に響く音色~
能の音楽、「能楽」も、能の魅力を語る上で欠かせません。笛や小鼓、大鼓といった楽器が、物語の感情を豊かに表現します。
- 笛: 幽玄な雰囲気を醸し出し、聴く者を異世界へと誘う。
- 小鼓: リズムを刻み、物語に緊張感や躍動感を与える。
- 大鼓: 重厚な音色で、物語のクライマックスを盛り上げる。
特に、笛の音色は、他の楽器にはない独特の音色で、聴く者の心を揺さぶります。能楽を聴いていると、まるで自分が物語の中にいるかのような、不思議な感覚を味わえます。
(正直、心地よくてちょっと眠くなってしまった時間もありましたが…笑)
松山隆雄師が語る能の魅力~4つの視点~
今回、「さがみはら能」で能舞を披露された松山隆雄師は、能について独自の視点をお持ちです。特に印象に残った4つの視点について、詳しくご紹介します。
- 能は武道と通じる部分がある:
能の所作は、無駄な動きをそぎ落とし、体幹を意識した身体操作が求められます。これは、武道における体の使い方と共通する部分があると言えるでしょう。また、能を演じるには、長年の鍛錬が必要であり、精神的な強さも求められます。
- 能は幽霊を呼び出すような、独特の世界観を持つ:
能の舞台には、現世と異界が交錯するような、独特の雰囲気があります。能の演目には、幽霊や妖怪が登場するものが多く、死者の世界や過去の出来事を表現することで、非日常的な空間を作り出しています。能面や衣装、そして能楽が、この世界観をさらに深めていると言えるでしょう。
- 能は過去と現在が交錯する時間感覚を持つ:
能の舞台では、過去の出来事が現代に蘇り、登場人物の感情や記憶が交錯します。能の演目には、歴史上の人物や出来事を題材にしたものが多く、過去の出来事を追体験することで、現代に生きる人々に教訓や感動を与えます。能は、過去と現在を結びつけ、未来へと繋げていく力を持っていると言えるでしょう。
- 能には独特の「緩さ」がある:
能の動きは、ゆっくりとしていて、力みがなく、自然体です。能は、単に技術を披露するだけでなく、内面から湧き出る感情や精神性を表現することを重視します。そのため、力みや形式的な動きを排除し、自然な表現を追求します。この「緩さ」こそが、能の奥深さを表現するための重要な要素であり、観客に安らぎや癒しを与える効果があるのかもしれません。
松山師の言葉からは、能の奥深さと、その魅力を現代に伝える情熱が伝わってきました。
感想:能は日本の美意識の集大成~現代を生きる私たちへのメッセージ~
今回、「さがみはら能」に参加して、能が単なる伝統芸能ではなく、日本の美意識や精神性が凝縮された「アート」であることを再認識しました。能の舞台は、まるで時空を超えた異世界。そこで繰り広げられる物語は、現代を生きる私たちにも、大切なメッセージを伝えてくれます。
能に触れることで、心が洗われ、新たな感動や発見があるはず。ぜひ、あなたも能の世界に足を踏み入れてみてください。
最後に
今回、丁寧な解説をしてくださった松山隆雄師、そして関係者の皆様に心より感謝申し上げます。日本の伝統芸能に触れて、心と感性をリフレッシュしたい方は、ぜひ一度、能の世界に足を踏み入れてみてください。きっと、新しい発見があるはずです!
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